鴨居・観音崎のむかし話
海賊退治
たたらの浜 おまんぎつね 鵜と大蛇(おろち)と観音様 江戸もどり 土左衛門と海坊主 鯨つき
昔、鴨居の地が三浦大介の子の多々良良春の領地であったころ、付近の村々を
火のように襲い、物を盗り、風のように通り過ぎていく「毒竜丸」という海賊船があっ
たそうじゃ。
首領を夜叉太郎といい、三浦の人々はかつて観音崎の洞窟に住んでいた大蛇以
上に恐れ、それは大変な騒ぎだったそうな。
領主の良春は、村人の恐怖を取り除いてやろうと考え、自分の髪を切ると船守観
音に捧げて祈願したそうな。
そして、乳兄弟の石井三郎、四郎を呼び、兄の三郎には観音崎から走水方面を、
弟の四郎には観音崎から久里浜方面を守らせ,海賊が来たら一挙に捕まえてしま
う手筈を整えて、今日か明日かと待ちかまえておったそうじゃ。
十月のある夜更けのこと、海賊船「毒竜丸」は闇にまぎれて、風のように鴨居の東
浜に来たそうじゃ。乗組員の三十数人が上陸し始めるのを確かめた見張り番は、飛
ぶようにして観音堂に登と,鐘を鳴らし、裏山に「のろし」をあげて皆に知らせたそう
じゃ。
三郎・四郎の兄弟は、それとばかりに兵船を北と南から漕ぎ寄せたそうな。すると
どうじゃ。一条の不思議な光が観音堂の上から高く上がって、辺りを真昼のように照
らし出し、毒竜丸や海賊達の姿をありありと映し出したそうな。
ぴ゛っくりした海賊達は、陸の奥へ奥へと逃げ出したそうな。
三郎・四郎の兄弟は、手薄の毒竜丸を襲うと、家来を二手に分けて上陸した海賊
達を追いかけさせたそうな。
さすがの海賊達も、陸のことで海とは勝手が違い、小原台の下の谷間に追いつめ
られて、一人倒れ、二人倒れとうとう十数人になってしまいよった。
これを見た首領の夜叉太郎はますます怒り狂い、暴れ回って、さすがの石井兄弟
も手に余り、やつと仕留めた時には、重傷を負い命を失ってしまったそうじゃ。
残りの海賊は、首領が殺されたのを知ると、抵抗するのをあきらめ、降伏したそう
な。そして、副頭領の「島の浪六」は、これを機会にすっかり改心し、多々良良春に
願って観音堂の堂守にしてもらったそうじゃ。また、浪六と一緒に降伏した海賊たち
も心を改め、領民にしてもらい、それぞれ百姓や漁師になって幸せに暮らしたそうな。
海賊船「毒竜丸」も「多々良丸」と名を改め、以後、多々良良春の軍船として使わ
れたそうじゃ。
たたらの浜 おまんぎつね 鵜と大蛇(おろち)と観音様 江戸もどり 土左衛門と海坊主 鯨つき