2002年度 6年2組 総合的な学習の時間

「私たちの町 鴨居・観音崎」
   
  目次
 1、活動目標
 2、活動計画
 3、評価規準
 4、実際の活動
 5、この活動を推進するために
 6、実践を通して育った力
 7、今後の課題
 8、参考資料

1、活動目標

身近な地域、人、自然に関心を持ち、さまざまな視点から自分なりに課題を設定し、進んで調べたり、考えたりしていく中で、地域に愛着を持つ。

・鴨居の街を紹介する活動(ホームページつくり)を通して、情報収集能力、コミュニケーション能力、表現能力を高める。

・それぞれの課題を追求する中で、友達と協力して活動することを通して望まして人間関係をつくる。

2、活動計画

児童の活動

教師のかかわり

1、グループごとに地域に出かける

2、自分の課題をとらえる

3、地域に出かけ、資料を収集する
4、詳しく調べる。

5、ホームページを作る。

6、振り返る

・ 五感を生かすとともに一人一人の気づきを大切にする。
自分の課題が持てたか、一人一人と対話し、決めかねている子どもには相談にのる。
・デジタルカメラを活用し、資料の収集させる。
   収集しにくい資料を用意したり、保護者や地域の人材を積極的に活用したりする。
子どもたちの思いや願いがホームページを見る人に伝わるように工夫させる。
・友達と見合い、さらによいページ作りをする。

3、評価規準

みつける力

・身近な地域・人・自然に関心をもとうとする。
・自分なりに工夫して地域を調べる課題を考える 。
・自分の課題と友達の立てた課題を比較してよりよい課題に作りかえることができる。

学ぶ力

・安全に気をつけて友達と協力しながら身近な地域を調べようとする 。
・課題に応じて地域を調べたことをホームページにまとめる。
・ホームページづくりを通して、課題を解決する方法を理解する。

生活に生かす力

・ワープロソフトを活用し、コンピューターの使い方になれる。
・デジタルカメラの使い方を知り、活用することができる。
・地域のよさを知り、地域の環境を守っていこうとする。



4、実際の活動                                           

2002年度にはいり、子どもたちと教室で「総合的な学習の時間」にどんなことに取り組むのか相談した。子どもたちからは
「新しい公園ができるのだから、いろいろな人に来てもらいたい。」
「みんなに鴨居や観音崎のことを知ってもらいたい。」
「日本中に僕たちの鴨居・観音崎について、伝える方法はないか。」
「新聞に投書したら。」
「今年は、自分たちでホームページを作り、鴨居・観音崎のことを全国に知らせたい。」
という意見が出された。そこで、鴨居・観音崎をもう一度調べなおし、ホームページを作り、全国に発信することとした。

第1次 グループごとに鴨居・観音崎に出かける。
それぞれグループを組み鴨居・観音崎に出かけた。その中で、A子は、
「私の家は、お寺なので、鴨居のお寺について調べてみたいと思っているの。」
と言って友達と学校を出発した。自分の家だけでなく、何軒かの寺院、神社をまわり
「やっぱりいくつかお寺があるから、鴨居のお寺について調べることにした。」
と自分の課題をつかんできていた。
「観音崎灯台について調べようと思うんだ。」
と言って出かけたB男。灯台に出かけ、灯台資料館でいろいろなものを発見し、
「観音崎の灯台だけでなく、いろいろな灯台なども調べたくなった。」と。
「僕は、ゴジラの上陸したたたら浜について調べようかな。」
と言って出かけたC男。
たたら浜にある観音崎自然博物館で学芸員さんにいろいろと教えてもらい、考えを広げ

「観音崎自然博物館について調べようと思った。」
と。中には、D子のように
「新しい公園を紹介するページを作りたい。」

と。それぞれ自分の課題について考えてきている様子が伺えた。

第2次 自分の課題をしっかりと考える。
 およその計画を立てることにより、子どもたちも自分たちが活動に対する意識をつけることができるように支援した。また、活動していく上で、単にその内容を調べればよいというものではなく、調べたことをもとにして鴨居・観音崎を紹介するホームページ作りの材料となることを意識させた。
 話し合いの中で、A子は、
「今度は、メモを持って行かないといけないと思いました。」

と語り、自分のやろうとしていることを視野に抱きはじめました。また、B男は
「観音崎灯台についてしっかりと調べていこうと思います。そのために今度はデジカメを持っていきたいです。写真を取ってきてそれを入れたいです。」
と、自分の考えを述べ、C男は、
「自然博物館に行って、調べてきたことをホームページに載せたい。」
と、さらにD子は、
「観音崎の公園について、いろいろと調べてみたいな。」など、ほとんどの子どもから自分が何をしたらいいのか、課題が明確になったことをうかがうことができた。これは、昨年度の学習で、自分たちが何をどのように調べたらよいのか、考えられるようになったからと考えられる。


第3次 デジカメを持って鴨居・観音崎に出かけ、資料を収集する。

グループに1台のデジカメを持って地域に出かけさせた。その際、デジカメだけに頼るのではなく、メモも取ることを忘れないように指示した。1回目の活動でA子は、自分の家でもある能満寺の中にある横須賀市の案内板を見て
「こんなことがあるんだ。私、ぜんぜん知らなかった。」
と、自分の家の様子に驚き、本堂の写真を撮り、さらに案内板をしっかりと書き写し、学校に戻ってきた。
 2回目、出発前に
「本堂の仏様を写真に撮ってくるんだ。」
と出かけたA子は、自宅に着くと、住職である父に
「本堂の仏様の写真をとってもいい。」
と尋ねた。この仏像は、横須賀市指定文化財になっている関係で撮影禁止かと思っていたところ、住職である父は、自らお供物などをどかして、
「こうすれば、きれいに撮れるぞ。ほら、カメラを貸してごらん。」
と、デジタルカメラで仏像を撮ってくれました。
 3回目、A子は自分の家でなく、他の寺院に出かけ、そのお寺に関する資料をたくさんもらってきたのです。どのようにしてその資料を手にしたのか尋ねてみると、一緒に出かけたH子が
「すごいんだよ。A子。普段はおとなしいからどうするのかと思ったら、いきなりお寺の玄関のブザーを押して『すみません。鴨居小学校6年2組のA子と言います。今、総合的な学習の時間で、鴨居のお寺について調べています。このお寺に関する資料はありませんか。』っていったの。お寺の人は、『あー、A子ちゃん。資料ならあるわよ。貸してあげるわ。』って。もうびっくりしちゃった。」
と話してくれた。それまで、教室ではみんなの前でなかなか意見を述べることが少なかったが、これ以後、少しずつみんなの前でも挙手をして発言できるようになった。
 一方、1回目、B男は、
「灯台から見た風景は最高だった。お天気がよくて最高。これを全国の人に知ってもらいたい。」
と、デジタルカメラでたくさんの写真を撮り、さらに観音崎灯台に示してある「灯台の歴史」をしっかりと書き写してきた。
 2回目には、まだまだ全部書ききれないと「灯台の歴史」を書き続け、3回目には、
灯台資料館内の展示物の説明を書き写してきた。授業時間だけでは書ききれず、放課後、何回も観音崎灯台を訪問し、様々のことを書き写してきた。
 この活動は、子どもたち全員と会うことができないことが多い。教室に戻ってきたときの子どもたちに対しての支援のための「ことばかけ」が大切と考える。「ことばかけ」は、二つのタイプに分類でき、評価のための(内面をみとるための)「ことばかけ」と支援のためのことばかけがある。そして「称賛」「励まし」「紹介」「問いかけ」「助言」「示唆」などがある。したがって、活動から戻ってきた子どもたちに対しての「ことばかけ」が総合的な学習の時間の大事なポイントとなるに違いない。
 デジタルカメラについては、子どもたちにも簡単に操作でき、撮影したその場で画像を確認することもでき、コンピューターを利用した画像処理も簡単にでき、さらにデジタルカメラを活用することにより、地域に対して焦点を定めてみる目を養うことかできると考えた。


第4次 図書室やインターネットを活用し、詳しく調べる。
 実際に地域で様々な活動を体験する事だけでなく、地域についての情報をできるだけ多く収集することが大切であると考える。そのために、図書室で資料を収集したり、インターネットを活用したりして多くの情報を手にいくことが、正しい情報を得たり、発信したりする可能性が高くなると考えた。
 A子は、図書室でも、友達と
「いい本を見つけた。」
と、ホームページつくりに参考となる資料を見つけることができた。
 一方、B男は、
「インターネットを見ていたら、観音崎灯台を紹介しているページがあったよ。」
と嬉しそうに語り、メモにとっていた。
 C男は、インターネットで観音崎公園を紹介しているページを検索し、
「こんなにたくさんあるんだ。7670件(ヤフー検索)だって。すごいな。」
と、その多さに驚き、
「僕も負けないようなページを作るぞ。」
と、意欲を高めていた。D子は、時間が足りないからと、デジタルカメラを持ち、友達と観音崎公園内を撮影した。


第5次 ホームページ作り

 それぞれ自分の課題にそってホームページ作りを行った。作成したホームページは、「私たちの町 鴨居・観音崎」として完成した順に公開した。
 学校にコンピューターが二人に1台という割合のため、A子は、H子と一緒に二人で「鴨居のお寺・神社」というホームページを作成。まず写真を挿入し、資料を見ながら自分の文章で文字を入力。
 途中、難しい用語が出てくると、国語辞典などを使いながら、ページ作りをしていた。
また、資料などがないものについては、「現在、調査中です」という文字を入れておき、放課後に調べに出かけたり、家族に尋ねたり、自分から進んで意欲的にホームページ作りをしていた。
 また、B男は、友達3人と「観音崎灯台」というタイトルでホームページを作成、「灯台の歴史」のページを受け持ち、一生懸命に入力した。
 さらにC男は、「観音崎自然博物館と海の子とりで」というタイトルでホームページを作成。観音崎自然博物館のことだけでなく、「海の子とりで」「たたら浜」を紹介するページも作成した。「観音崎自然博物館」では、学芸員さんからいろいろと教えていただいた天然記念物のミヤコタナゴを紹介。こだわりを見せている。
また、D子は、「ハルサヤのページ」として、二人でホームページを作成。「鴨居の公園」のページの中で、昨年度の活動でみんなが名前を考えた「新しい公園」を「おすすめの公園」として紹介している。この他にも、多くの子どもたちが「新しい公園」を紹介している。


5、この活動を推進するための授業 
  この活動を推進するために並行して、次の授業を展開した。
 A、理科「磯の生物観察会」(参考 義一のページ 「磯の生物観察会」)
 観音崎自然博物館の協力を得て、磯の生物を観察。改めて観音崎の自然のすばらしさを実感する。

 B、社会科「横穴を探ろう」 (参考 義一のページ 「たたら浜横穴自然観察の森」)
 県立観音崎公園内にある観音崎自然博物館のフィードである「たたら浜横穴自然観察の森」を見学。今から1200年前から1300年前の横穴を実際に観察し、当時の人々の暮らしを考えさせた。その際、歴史に詳しいフィールドレンジャーの方に講師を依頼した。子どもたちは、自分たちの身近な場所に歴史的な価値のあるものがあることを知り、歴史への関心を深めた。

 C、社会科「歴史の舞台 浦賀」(参考 これが横須賀 「浦賀」・「灯明堂」)
 子どもたちの生活圏となっている浦賀は、ペリー来航、そして咸臨丸出航の地として全国に知られている。しかし、子どもたちは、その浦賀についてほとんど知らない。そこで鴨居に住む郷土史家である村上さんに講師を依頼し、子どもたちに「歴史の舞台 浦賀」を案内していただく。自分たちの知らないことを教えていただき、真剣なまなざしで「歴史の舞台 浦賀」を歩くことができた。

 D,理科「地層見学」(参考 義一のページ 「観音崎の地層」
 幕末から第2次世界大戦終了までの80数年間,防衛上の重要な場所として要塞地帯になっていたため,観音崎公園内のいたるところに崖や切り通し・トンネル等があり,これらの多くはセメントで塗り固められず現存し,地層が露出しており、観察が容易にできる。それぞれグループごとに地層の観察を行った。

 E.図工「ぼくの私の町 鴨居・観音崎」(参考 2002年6年2組のページ「写生〜ぼくの私の町 鴨居・観音崎」
 地域の中で自分の好きな場所・気に入っている場所を描いてもらった。その際、観音崎灯台を書いた子どもが多く、観音崎灯台にお願いして描いた作品を展示していただく。その様子は、海上保安庁の「燈光」という小冊子にも掲載していただく。 
「ぼくの私の町 鴨居・観音崎」

 F.特別活動 FNS「観音崎海岸清掃ボランティア」への参加(参考 義一のページ「湘南一万人ごみ拾い」
観音崎をきれいにしたいと考えた子どもたちと一緒に、FNSの主催で開催された「観音崎海岸の清掃ボランティア」に参加。



6.実践を通して育った力
 これまでに子どもたちは一連の流れの中で、自分自身の「生きる力」を伸ばしてきたといえる。

「みつける力」
 @学習の見通しを持つことにより、進んで活動しようとする意欲が見られるようになった。
 Aホームページをつくろうという思いから、地域とかかわりあいながら進んで調べようとしている。
 B自分なりに興味を持った課題に対して図書室やインターネット等いろいろなところから資料を探して進んで調べ学習する態度が見られた。
「学ぶ力」
 @体験活動を通して、友達と協力し合ったりお互いに認めたりする機会が増え、よりよい人間関係が出てきた。
 A地域の環境を進んで学ぶことができてきている。
 B自分なりに得たことをまとめ、表現することにより理解力、思考力を深めることができるようになってきている。
 C失敗を恐れることなく、失敗から学ぶという見方ができてきている。
「生活に生かす力」
@デジタルカメラの使い方を知り、工夫して写真を撮れるようになってきた。
A地域のよさを知るようになってきた。
Bホームページを作る喜びを知り、自分たちから進んでホームページを作成する子どもが出てきた。 
                         (参考 2002年6年2組のページ「飼育委員の飼育日記」)



7、今後の課題
 
 一部の子どもの中にホームページを完成させたことで活動が終了している子どもがいた。
  また、子どもたちが郷土である鴨居・観音崎をさらに愛着が持ち、主体的に地域にかかわることができるように活動を展開していきたい。


8、参考資料(子供の感想)

自分のページを作った理由
・みんなに見てもらえていろいろなことを知ってもらいたい。

・鴨居のことをいろいろな人に知ってもらいたい。
・鴨居のお寺や神社をよく知りたかったし、みんなにそのことを知ってもらいたかった。
・観音崎灯台が好きだから
・博物館に魚や生き物がたくさんいたから。
・博物館にどんなものがいるか、知って欲しかったから。
・観音崎大橋のことを知って欲しかったから
・灯台のことをいろいろな人に知って欲しかった。
・観音崎公園を知らない人がいるから
・観音崎大橋の下がきれいで、景色もきれいだから。
・観音崎の好きな所だから。
・観音崎灯台のことを知りたかったから。
・観音崎をもっとしって欲しいと思った。

自分のページを作った感想
・お寺や神社、お墓を調べるのは難しかったけれど、分かっていくうちにうれしくなってしまいました。
・自分のホームページがいろいろな人に見てもらえると思った。
・観音崎灯台には、いろいろな歴史があることを知った。
・パソコンで作ったりするとは楽しい。友達と一緒にやったのも楽しかった。調べるのは面倒だけれど、やっぱり調べ始めると楽しい。
・はじめは「大変そう」と思っていたけれど、作ってみると自分の言葉が入れられるのでとても楽しいです。
・はじめは簡単だと思っていたけど、やってみたら失敗ばかりで難しかった。
・観音崎の海は、きれいだなと思った。
・最初は難しいと思ったけれど、作っていくうちに楽しくなってきた。
・作るのは大変だけれど、見てもらえると思うとうれしい。
・たたら浜などを調べていくといろいろなことが分かって楽しかった。
・観音崎には、貴重なものがいることが分かった。
・鴨居の犬を調べたけれど、思っていたよりも少なかった。
・灯台のことをもっと調べたくなった。
・鴨居をみんなに持つと知って欲しくなった。

ホームページ作りを通して学習したこと
・観音崎のいろいろなことがわかった。
・パソコンをやってローマ字を覚えた。
・ホームぺーしの作り方を学んだ。
・お寺にあるものの名前やお墓がどうしてあるか等。
・友達といろいろなインタビューをすることができた。
・文字や写真の入力の仕方やホームページの作り方がわかった。
・パソコンの使い方がわかった。
・観音崎大橋の下にある海にいる生き物がわかってよかった。
・ミヤコタナゴの産卵方法が変わっている。貝の中に生むんだもの。産卵管があって一瞬のうちに産むっていうこともわかった。
・私達の身近にこんなにたくさんの公園があるということがわかった。いろいろな遊具があることもわかった。
・鴨居の海にいろいろな魚がいて、サメなどもいることがわかった。
・鴨居のことがよくわかった。
・自分でまだ行ったことのなかった所に行くことができた。
・文字を入力するのが早くなった。
・海などにゴミを捨ててはいけないことを学んだ。
・お寺にあるものや木、お墓等の名前や他のお寺にはないものようなものがあった。
・観音崎灯台の歴史や近くのいろいろなものについてわかった。
・普段なかなか自然博物館に行ってなかったけれど、この勉強で博物館に行くことができ、たたら浜のことなどを学んだ。
・いろいろな生き物の生態についてわかった。
・観音崎には、貴重な生き物がいて、場所を教えてしまうとみんなが来てしまうということも考えないといけないのだということを自然博物館の人から教えてもらった。

作ったページを誰に見て欲しいか。
・観音崎に興味のある人・遊びに来ようとしている人

・観音崎をよく知らない人
・子供から大人までいろいろな人。
・家族・おじいちゃん、おばあちゃんや親戚
・友達
・世界の人たち
・いろいろな学校の人たち
・小泉総理大臣
   


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