「 ぼ く の わ た し の 鴨 居 港 」
           〜地域を生かした総合的な学習の時間〜
                      

1、活動の意図
 製作者の勤務する学校は、全校児童517名、16学級のいわゆる中規模の学校である。
 校舎からは東京湾も望むことができ、日本で最初に建築された洋式灯台『観音崎灯台』のある県立観音崎公園をかかえる恵まれた自然環境の中にある。一年を通して、昆虫・水辺の生き物・磯の生き物・樹木や木の実・草花にふれることのできる格好の学習の場が存在し、子どもの遊びにはかかせない自然物がたくさんあり、その中で子どもたちは明るく元気に毎日の生活を送っている。
 社会、理科、生活科などで、校外学習を通して地域に生息している生き物とふれあったり育てたりする活動をするとともに、地域の人々や施設で働いている人々とかかわり、地域を生かした学習活動を進めてきている。
 授業の活動を見ていると、子どもたちは、素直な心を持ち、何でも挑戦してみたいという意欲が見られる。一方で、自分の思いや願いをもとに、課題を決め、課題を解決する総合的な学習活動をすることは、はじめての経験である。 
 展開にあたっては、児童が関心をもっている地域の自然に五感を通して十分にふれあえるようにし、地域に繰り返し調べにいく活動を通して、環境について自分なりの見方や考え方をもてるようにしたい。そして環境を保護する活動へと展開していけるようにするとともに、自分が住んでいる地域を愛する心を育み、子どもの地域への関心意欲を高めていきたい。

2、活動目標
・身近な地域・人・自然に関心を持ち、さまざまな視点から自分なりに課題を設定し、進んで調べたり、考えたりしていく中で、地域の環境を守っていく心や態度を育てたい。
・自分なりの課題を追求するとともに、友達と協力して活動することを通して望ましい人間関係をつくる。

3、活動展開(20時間)

活動の流れ(時数) 活動内容(児童の活動) 留意点(教師のかかわり) 
1 ふれあう(2)  鴨居港に出かけ、さまざまなこ
とに気付く。
五感を生かすとともに一人ひとりの
気づきを大切にする。
2 かかわる(2)  鴨居港の中で不思議に思うこと
などを見つける。
興味・関心、疑問点等、課題となる
ものを見つけさせる。
3 話し合う(1)  鴨居港について話し合い、その
中から自分の興味・関心のあるこ
とに対して課題をつかむ。
課題を立てられない子にはふりか
えりの活動を通して、教師と 一緒
に考える。
4 計画をたてる(1)  どのような方法で課題を追求す
るか学習の見通しをもち、計画を
立てる
自分の課題がもてたか、一人 ひと
りと対話し、決めかねている子どもに
は、相談にのる
5 追求する (12)  自分なりの方法で考えた課題を
追及する。 
               
 課題追求が早く終わった者は、
次に興味ある課題について追求
する。      
収集しにくい資料を用意したり保護者
や地域の人材を積極的に活用する。
友達との役割分担の明確化をはかり
互いに情報交換しあい進めるよう助
言する。
 6 発表する(2)  ポスターセッション方式でそれぞ
れの課題について調べた結果を
発表し合う。

 子どもたちの思いや願いが聞く
人に伝わるように発表の工夫がで
きるように助言する。

       

 課題追及の一例
  

(かかわる・話し合う) (計画を立てる) (追及する)


 うぁーゴミがいっぱい
だ。鴨居港にはどれくら
いのゴミがあるのか調べ
てみたい。
 鴨居港に行き、どんな
ゴミが落ちているか写真に
撮っておこう。ゴミを少なく
することはできないかな
 鴨居港のゴミマップを
作ろう。ポスターを描い
て貼らせてもらおう。ど
こに貼れるか調べよう。


  アメフラシがいるぞ。 
 イソギンチャクもカニも 
いるぞ。他にはどんな生
き物がいるのかな。 
 どんな生き物がいるか、
スケッチしたり、写真に撮
っておこう、わからないも
のは、後でしらべよう。
 鴨居港にすんでいる生
き物を図書室の図鑑で調
て鴨居港生き物マップを
作ろう。


 この立て札みたいなも
のはなんだろう。おじい
さんに昔のことを聞いて
みよう。 
 地域の人でだれか鴨居
港について詳しく知ってい
るのは誰かな。学校に来
て話してくれないかな。
 鴨居港について話してく
れる人がいそうだ。インタ
ビューしているところをビ
デオに撮っておこう。

       鴨居港のゴミ
                

4、活動を終えて
 地域の特徴である鴨居港を生かし、身近なテーマを選び、さまざまな課題の追求に取り組む中で、自分達の住む鴨居への愛着が生まれ、環境問題も自分達の問題として感じられるようになってきた。道路や海にゴミを捨てないことはもちろん、資源ゴミのリサイクルやゴミの減量等についても機会あるごとに考え、行動できる意欲や態度が育ってきた。
 また地域の方からも、喜びの声が上がっている。


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